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奥村 カッティングシートを使いはじめたのはいつ頃?
吉田 91年からです。先ほど言った、いわき市美術館で光を初めてやるときに使わせてもらいました。カッティングシートをカメラレンズに貼って撮影した「寂光」という作品もあります。最近はモニュメントにも使うようになってきた。
奥村 それが、今回の名古屋ルーセントタワーの作品ですね。
吉田 はい。ここは、太陽が真上に昇ると、色がストーンと真下に抜ける。すごくキレイだと思います、実際にはまだ見ていないのですが(笑)。夜は夜で下からライトが当たって夜空にカッティングシートの色が広がります。
奥村 これは恒久的な建物なんですよね?
吉田 そうなんです。劣化したら貼りかえるということで、今回初めて恒久的な作品としてカッティングシートを使ったんです。
奥村 何色使っているんですか?
吉田 赤、青、黄の三色だけ。色の三原色なんですけど、自分はずっとこの色ですね。子どもっぽい発想かもしれないけれど、太陽がそのまま色を通して、自由に絵を描いているというのがコンセプトと言えるかなと…。
奥村 97年のCSデザイン賞実験部門で金賞を獲った、宇都宮美術館も同じ感じですね?
吉田 ええ、懐かしいですね。これも、太陽が上がってくると、まず西の壁に色が映って、太陽が移動して上に行くと色が下にストーンと落ちる。一日を通して見ると、すごく素晴らしい。
奥村 他に、どんな作品でカッティングシートを使われてます?
吉田 最近では、岩手県立美術館で、ガラス面に赤いカッティングシートを貼った作品を展示しました。自然光が通ると館内が赤い空間になるんです。
奥村 (写真を見て)ほぉ。中に入ると一転して別世界という感じですね。
吉田 ええ。最近は赤を使うことが多いですかね。二年前くらいですけど、カメラレンズに赤いカッティングシートを貼って撮影した作品もつくりました。あと、子どもたちとカッティングシートを使ったワークショップをやったりも。
奥村 自由な発想で、予想もつかないような使い方をする子がいたりするんじゃないですか?
吉田 最初はみんな小さい絵柄を描くんですけど、それがだんだん大きくなるのが面白いですね。切るだけじゃなくて、貼るという行為が楽しいみたいで、盛り上がります。
奥村 子どもたちがプリズムとかシートとか、何かとてつもない使い方をする場面に出くわすことが、これからあるんじゃないかなって思いますね、何となく。
吉田 ありますかね。そしたら嬉しい(笑)。
奥村 光っていうのは自分ではどうしようもないものだから、作家としては道具を変えていくしかない。でも、本当はそういうものじゃない気もして。何もない、何も写さないっていうのも今後、次のステップにいくキーになる気がするんです。
吉田 子どもと一緒にやることで、新鮮な感動を思い出しますしね。作家って、活動して作品がある程度できてくると、作品に作家がおぼれてしまって、だんだんダメになるパターンが多い。だから、子どもの心に帰れる環境があるのはありがたいなって思っています。
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