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奥村 改めて見ると、かなり広いシネコンだよね。スクリーンはいくつ?

寺田 9つです。シネコンはアメリカから来たものなので、内装もアメリカを引きずっていたというか。最近は、ホテルのロビー風といったものも出てきましたけれど、今回はXX風という枠から抜け出したものをやりたかったんです。

奥村 初めて見たとき、そういう印象を受けました。XX風という感じがないから、何だろうって。

寺田 そうやって思っていただけたら私としては正解というか、成功です(笑)。子どもや高齢の方もいらっしゃる場所なので、どの年代のどんな方でも、それぞれ自由な発想で想像できるよう、グラフィックも抽象的なものにしました。

奥村 ガラス面のグラフィックもカッティングシートですよね。このカッティングだと捨てる部分も多いよね(笑)。

寺田 職人さんがやりたいと言ってくれなかったら実現しなかったかも(笑)。でも、こちらも指示の仕方にコツがあるんですね。全部を展開図に落とし込んで、どっちからどう追い出すとか、逃げ方の指示をすると、やりやすいみたいです。

奥村 今、気づいたけど、絵柄の途中からサインが飛び出してるんですね。

寺田 ええ。サインとグラフィックを混ぜたくて、壁から出ている部分もわざと光らせちゃったんです。最近、LEDのおかげでメンテナンスしなくてよくなったので、あんどんボックスとか、いろいろと冒険できるようになりましたね。

奥村 トイレの女性のピクトもちょっと違いますね。

寺田 はい。ピクトグラムも全部。大きい商業施設だと、そういう部分もやらないと、なかなかまとまらなくて。逆にいうと、今回の経験で、しっかりやれば、それだけである程度空間になるという気がしました。

奥村 このインタビューは「THE COLOR」というコンテンツなんだけど、色については何か考えはありますか?

寺田 CMYKで作れる塗装に使う色と、RGBで作る光の色って、同じ色でも全然違うんですよね。違うなら混ぜたりできるかなっていうのを、今回トライしてみたかったんです。

奥村 なるほどね。今回のものは、ここからまた次の発想へ行く可能性がありそうだよね。

寺田 奥村さんは舞台をやられていたので色と光をよくご存知だと思うのですが、建築の世界ではまだそこまでなかなか…。でも、これからは白とか透明じゃないところでチャレンジしていかないと難しいし、チャレンジしていきたいという思いがあって。

奥村 白とかはちょっと飽きてきちゃった部分もありますしね。ADC(東京アートディレクターズクラブ)も、ここ10年は白っぽいものとか、空間がバーンとあってその中をきっちりレイアウトしているものが受けていたのだけど、最近はそういうのがあまり受賞しない傾向にあるような。

寺田 そうなんですか。ちょっと時代の空気が変わってきたのかもしれないですね。

奥村 ADCは空間(を対象とする賞)もあるから、「ユナイテッド・シネマ前橋」も出してみればいいと思いますよ。あと、中川ケミカルのCSデザイン賞もいいですよね。これだけの量のカッティングシートを使ってるし、なんてね(笑)。