米谷 実は以前、内田繁さんの事務所にいたときに、奥村さんをお見かけしたことがあるんです。まだ駆け出しの頃で、本当にちらっとお姿をお見かけしただけなのですが。
奥村 ああ、そうだったんですか、それは縁がありますね(笑)。今回は「風プロ」について伺いたいのだけど、この仕事はどういう経緯で発注を受けたんですか?
米谷 「トネリコという社名が面白い」ということで縁ができました(笑)。実は、「風プロ」の代表取締役が戸練(トネリ)さんという方なんです。以前、我々が出演したテレビ番組を観て、名前も似ているし、面白いことをやっていると興味を持ってくれたらしくて。
奥村 へぇ、面白いね(笑)。ちなみに、トネリコってどういう意味なんですか?
米谷 ホワイトアッシュ、白木の和名がトネリコなんです。白木は一番好きな素材なので。
奥村 ほぉ、なるほどね。
米谷 後から知ったことなのですが、北欧の神話では、トネリコの樹は世界の中心にあると言われていて、すごく縁起がいいらしいです。
奥村 実際に仕事でも白木をよく使うの?
米谷 そうですね。今もそうですが、昔からよく使ってました。
奥村 トネリコのオフィスは原宿ですけど、今回の物件「風プロ」も原宿ですよね。
米谷 はい、そうです。1階は物販で、2階が「風プロ」で、3階が美容室。普通に考えたら事務所向きの場所じゃないんですけど、「風プロ」さんはその場所にとてもこだわりがあって。僕らの普通の感覚とはまた違うということをすごく感じました。さすがノッている会社は違うな、と。
奥村 ははは。赤は「風プロ」のカラーらしいけど、赤を使うことは先方からのリクエストだったんですか?
米谷 最初は赤という指定はなかったんです。ただ、色を使いたいとは言われていたので、1回目の提案で、いろいろな色が混ざったような色使いを提案しました。裏原宿っぽい、落書きのようなイメージで。
奥村 なるほど。でも、最終的には赤を使うことになった、と。
米谷 はい。2回目以降の打ち合わせで、赤という話が出てきて。でも、実は僕は赤をあまり使わないんです。自分の中でも数少ない苦手な色をリクエストされて少し悩みました……。
奥村 確かに、赤は難しいですよね。
米谷 壁に使うにしても、ある一定の量を超えてしまうと辛いし、かといってどこかの壁にちょろりと塗るだけだとインパクトがないし。
奥村 それで天井を赤にした、と。
米谷 デザインする際、普段は天井ってあまり意識しなくて、壁や柱など平面から考えることが多いですよね。でも、このオフィスは2階にあって、外から上がってくるとき、窓からまず天井が目に飛び込んでくる。だから、天井をテーマにしようと決めたんです。
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