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奥村 今回の物件「ドンファン」は男性向けのヘアサロンなんですよね?

岩本 はい。オーナーさんはもともと本屋さんで、経営者として非常に優秀な方なんです。その方が、自分の行きたいようなメンズサロンがないから作りたいと。

奥村 スペースはどのくらいあるの?

岩本 4畳ほどの個室が3つあって、六本木ヒルズの人やオーナーとお付き合いのある方がお忍びで来られるような場所です。普通のヘアサロンだと、シャンプーとカットでいちいち自分が移動するんですけど、ここは全部が個室で完結するんです。

奥村 やっぱり、ひとり当たりの滞在時間も長い?

岩本 2時間半くらいでしょうか。価格帯もちょっと高くて、回転率ではなく他にはない付加価値で勝負していこうというサロンなんです。

奥村 壁際の(時計のような)アイコンがとても印象的だけどこれは?

岩本 ここに来るお客さんはいつも忙しくて、常に決断に追われている人だと思ったので、あえて針のない時計をアイコンにしました。

奥村 なるほどね。窓はフォグラスを使っているよね?

岩本 はい。この物件は鉄骨しか建てられないエリアにあって、窓ガラスも網入りであまり色気がなくて。でも、そこをどう変えるかがインテリアデザインだと思うので、フォグラスでハサミのモチーフを施しました。こうすれば外から中が全部見えないというメリットもあって。

奥村 中からの景観もいいわけじゃないんだよね?

岩本 そうなんです。あと、このフォグラスには西日を緩和させる目的もあります。ブラインドを使ってしまうと、お店が閉まっているように見えてしまうので、そういう時に50%くらいの透過度にしてフォグラスをよく使います。

奥村 岩本さんはわりとフォグラスを活用することが多いのかな?

岩本 やはりサインの部分では、経済性や機能性をふまえて、フォグラスやカッティングシートで対応することが多いですね。面白いところでは、以前、フォグラスでシャンデリアをデザインしたことがあります。お店の中は裸電球なのですが、窓のフォグラスがシャンデリア模様で、外から見るとシャンデリアが灯っているように見える。

奥村 なるほどね。それは使い方の例として面白いですね。これまでの作品を拝見すると、岩本さんの場合は、キーカラーを前面に出すようなデザインはあまりないですね?

岩本 そうですね。僕の中では目に見えていないものに意味があるというか。色というよりは、照明やマテリアルが空間の中でどういう見え方をするかを考えて、目に映る風景を作る感じです。