
奥村 色に関しては自然の素材をいかしたものが多いんですか?
須藤 「NUNO」をスタートして22年になるのですが、ずっと個人的に着物の端切れを集めていて。シルクって色に深みがあるし、鮮やかに色が出ていると思うんですよね。だから、パレットはだいたいそれを使ってます。
奥村 着物も時代によって染料が違ってきたりするんでしょうね。
須藤 150年前に化学染料が生まれる前までは、植物染料だけでした。「色は平安」といわれていますよね。(色を)重ねる美しさというか。「NUNO」では、織物がメインなので、織り色っていう言い方をするんですけど、織り色って面で出てくる色ではないんですよ。
奥村 なるほど、織り方によって色が変わる。
須藤 経糸と緯糸の色を決めるわけですが、たとえばそのどちらかにある色を一本入れるだけで、何かが違ってくる。その一本の色は実際には見えてこないんですけど、気配があるんです。…奥村先生の分野でいうと、印刷もそうじゃないですか?
奥村 昔、印刷をやる場合、オフセットで下に下地を作って4色を重ねていくという風にやりましたね。
須藤 ですよね。布の場合も、黒という色を出すのに、藍を入れるか、赤を入れるかを考えるんです。ところで、この間、坂本龍一さんのパフォーマンスを拝見したのですが、ビジュアルと音が連動していて、音と同時にパターンの映像が出るんですね。あれ、すごくテキスタイル的だなって思いました。
奥村 確かに、織物の色というのは、坂本氏のやっているようなデジタル音楽の様に、重層的な工程から生み出されるのですね。
須藤 そうなんです。映像のパターンもテキスタイルでいうプリントみたいですし。布って、無地にする場合でも、縦と横の糸の太さをちょっと変えて織ると色が違ってくるんです。そういう、「重ねて出てくる色」ということを私たちはすごく意識しているのかもしれません。
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