奥村 この「七色てまり」もそうだけど、これまでの作品を拝見すると、中心に何かアイコンがあって、それを取り巻くように座席がある、という構造が多いみたいだね。
金澤 そうですね。飲食店の仕事が多いんですけど、やっぱり今までにない空間の捉え方をしたいというか…。ドカンと中央に華を出してみたり、一面に水が流れるようにしてみたり、今まで見たことのない形を心がけています。
奥村 そういう場合、何か別の物でつくることが多いと思うんだけど、「七色てまり」の場合は、席そのものを立体的にして特徴をつけていますね。球体のモチーフっておもしろいけど、初めて?
金澤 以前、同じオーナーさんで、「つぼみ」(東京・新宿)というお店をやらせていただいて、座席をつぼみの形にしたことがあります。それをすごく気に入ってもらえて。
奥村 じゃあ、今回のモチーフはその発展形みたいなものかな。てまりという発想はどこから?
金澤 お店の業態がてまり寿司なんです。コンセプトレストランを主にやられているオーナーさんなのでテーマがいつも明快なんです。
奥村 なるほど、そのまんまだ。わかりやすい(笑)。ところで、このてまりはどうやってできているの?
金澤 FRPです。写真ではわかりづらいと思うのですが、空調のことなども考えて、金の部分はメッシュになっているんです。
奥村 個室感はあるけど、閉塞感はない、という感じですね。色数が多いけど、色づけは何で?
金澤 これは塗装です。金の他に、紫、黄緑、ピンクを使ってます。まずはベースを塗って、それから吹きつけています。てまりの存在をちょっと立たせるため、下はミラーになっています。ミラーは、実は当初は予定していなかったんですが、どうしてもぐらつきが出てしまったので。
奥村 照明は間接照明 ?
金澤 てまりの下の照明はそうです。周囲の障子は、ガラス面にマジカルフィルターという特殊なフィルムを貼っていて、角度や光の加減で七色の光に見えるようになっています。
奥村 鈴木清順さんとかの、映画のセットみたいですよね。色の氾濫は、蜷川実花さんの初監督映画『さくらん』の世界にも近い。金澤さんの他の作品もそうですが、やっぱり全体的に色が強くて、特に赤っぽい色が多いですよね。
金澤 空間って放っておくとどうしてもベージュとかの基本色で埋まっていってしまうので…。ただ、赤が多いっていうのはあまり自覚がなくて、今言われて気づきました(笑)。確かに赤は好きですね。
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